ブックレビュー
神田山陽(二代目)『桂馬の高跳び 坊っちゃん講釈師一代記』(中公文庫)を読みました。タイトルにあるとおり二代目神田山陽の自伝となっています。関東大震災が起こる前から振り返っていくのですが、この序盤からいきなり引き込まれました。当時の寄席の匂…
木村映里氏の『医療の外れで 看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと』(晶文社)を読んだ。 この本は、医療を享受する際に困難や障壁との直面を余儀なくされてしまう様々な人々について記されている。著者が見てきた、あるいは、身をもって体験し…
『夫のちんぽが入らない』の最終5巻が発売されました。連載の始まりから追いかけてきた作品なので、なんだかこちらまで感慨深い。原作の内容を追い越して、『夫のちんぽが入らない』の出版前夜のことや、漫画版オリジナルの展開などが繰り広げられることに…
梅雨がなかったら、もう夏本番なんだなと思う気候が続いている。というか、梅雨も、夏の一部なんだっけ? 在宅勤務で家でじっとしている時間が増えると、どうでもいいことを思考する時間も増える。「海無し県」はあるけど「山無し県」は無いなあ、とか。しか…
『夫のちんぽが入らない』第4巻が発売されました。元職場である小学校の卒業式に行く回や、子をもうけようとし断念するまでのエピソード、メロン狩りの回など、重要なエピソードが続く巻となっています。夫婦の絆の深まりも感動的ですが、母娘間での赦しの…
コミック版『夫のちんぽが入らない』の第3巻が発売されました。この巻には第3章「極夜」が収録されています。主人公が出会い系の沼に沈んでいく過程や、うつ状態が深刻化して教員の仕事を辞めるまでの日々が描かれています。 全体的に暗いムードが漂う章な…
黒田龍之助氏のエッセイ『ロシア語だけの青春 ミールに通った日々』を読みました。非常に胸が熱くなる一冊でした。黒田氏が高校生の時にミール・ロシア語研究所に通い始めた頃の話から始まり、2013年の同校の閉校までが綴られています。 黒田氏がどのような…
ゴトウユキコの初短編集『36度』について、以前一度感想を書いたことがありました。 lucas-kq.hatenablog.com その感想を書いた時には触れませんでしたが、収録されているほとんどの作品において、コマの隅の方に気になる言葉がいくつも書き込まれています…
『マンガ家になる! ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第1期講義録』を読みました。こちらの書籍は、株式会社ゲンロンが開設したマンガ家育成スクール「ひらめき☆マンガ教室」で行われた講義をまとめたものです。 ゲスト講師陣がたいへん豪華です。横槍メンゴ…
漫画版の『夫のちんぽが入らない』(原作こだま/画ゴトウユキコ)の2巻が2月6日に発売されました。漫画版の方では、原作の小説を読んでいる時には気付けなかったことや、想像ができなかったことが、絵の力を通して心に迫ってきます。今日発売のヤンマガ…
『夫のちんぽが入らない』(原作こだま/画ゴトウユキコ)の第2巻が出ました。 昨年の9月に発売された第1巻は、主人公さち子と慎の出会いから結婚までが描かれました。性交渉ができないという問題を抱えながらも仲睦まじく交際を続け、結婚に至った2人。…
笹井宏之『えーえんとくちから』(ちくま文庫)を読みました。笹井氏の短歌、俳句、詩、エッセイが収録されています。解説は穂村弘氏です。 ちなみに、私が買ったものには特典ペーパーが同封されていました。このペーパーには、先日『ダルちゃん』が新井賞を…
夢眠ねむ『まろやかな狂気2 夢眠ねむ遺言集』を読みました。本当はもっと早く感想を書きたかったのですが、本業の方での多忙と重なり、遅くなってしまいました。 1月も半ばを過ぎ、気が付けばもう、舞台に立つ夢眠ねむは不在の世界になっていました。夢眠…
姫乃たまさんの『周縁漫画界』を読みました。この本はコミックビームに関わる人々へのインタビュー集です。漫画家さんだけでなく、編集長、デザイナーさんへのインタビューも収められています。 「インタビュー集」と銘打たれていますが、普通のインタビュー…
こだまさんの『ここは、おしまいの地』(太田出版)を読みました。『夫のちんぽが入らない』の方は読んでいましたが、こちらはまだ未読でした。どうしてもっと早く読まなかったのだろうという気持ちです。 lucas-kq.hatenablog.com 『ここは、おしまいの地』…
6月はまだ終わっていないので少し気が早いですが、2018年上半期に読んだ本の記録です。『特捜部Q』シリーズが面白くて、春先以降はほとんどそればかり読んでいました。本当はもう少し硬い内容の本も読みたかったのですが、途中で少し失速してしまった…
こだまさんの著書『夫のちんぽが入らない』を読みました。こだまさん自身の半生を描いた私小説です。昨年に発売されるや否や、そのインパクトのあるタイトルで話題を集めました。様々な反響があったと思いますが、タイトルだけで拒否反応を示す人や、話題の…
臆病な詩人、街へ出る。 (立東舎) 作者: 文月悠光 出版社/メーカー: リットーミュージック 発売日: 2018/02/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 文月悠光さんの新刊『臆病な詩人、街へ出る。』を読みました。この本は、…
もう2018年の1月も終わり、2月に突入してしまっているんですけど、昨年の読書メモを。 一年分をまとめて振り返ろうとすると時間がかかるし、上半期に読んだものを思い出すのに手間がかかるのでよくないということが分かりました・・・。結局思い出せな…
姫乃たまさんの『職業としての地下アイドル』(朝日新書)を読みました。この本は、地下アイドルの女の子たちとそのファンの人たちへのアンケートを基にして書かれた本です。そして、そのアンケートから地下アイドルの世界とそこに身を置く人々の実態に迫っ…
現役の地下アイドルとしてマルチに活動している、姫乃たまさんの『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー、2015・9)を読みました。というよりは、読み終えたっきり、何も言語化できずにいました。「一体この本は何なのだ」と、私の中で消化…
洗礼ダイアリー 作者: 文月悠光 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2016/09/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 文月悠光さんの初エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社、2016・9)を読みました。文月さんの詩がとても好きで、…
一年の振り返り的な記事を書いてみようかなと思ったのですが、アイドルのことに限らずいろいろ書いちゃおうということで、まずは今年の読書の記録を。思い出せる限り書き出しました。これはもう完全に、自分自身の蔵書管理のためのメモのようなものなので、…
夢眠ねむさんの『まろやかな狂気 夢眠ねむ作品集』(※以下、副題は割愛し『まろやかな狂気』とします)を読みました。とても読み応えのある本で、これはいい加減な感想を書くわけにはいかないなと思い、ゆっくり咀嚼して、消化していく感じで読みました。 ま…
渡辺淳之介:アイドルをクリエイトする (MOBSPROOF EX) 作者: 宗像明将 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/04/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 標題の通り、宗像明将氏の『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』…