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2016年に観た映画(新作オンリー)のメモ

 あけましておめでとうございます。本年も当ブログをよろしくお願いします。

 去年観た映画のメモです。簡単な感想も書きました。映画好きな方はぜひ~

 

この世界の片隅に』(2016)

 まず、再びのんちゃんの演技を聴くことができているというだけで、泣きそうになりました。大人げないことをして才能を封じこめようとしている、どこぞの企業の陰湿な行為が早く止んでほしいと思います。もちろん、業界としての筋みたいなものもあるのかもしれないですけど、これだけ素晴らしい、作品に大きな価値を与えることができる女優を「殺す」のは、エンタテイメントに携わる組織として自らの顔に自ら泥を塗りまくっている超恥ずかしいことであるということをゆめゆめ忘れるなよ、と強く言っておきたいと思います。

 のんちゃんの復活という点だけ見ても、大きな意味のあった作品だと思いますが、本作はアニメーションとしての素晴らしさも備えていると思いました。原作者の画風を忠実に再現しつつ、暴力を迫力をもって描いていたと思います。しかし、戦争映画として不満な部分も無いわけではなく、殺意の所在がボヤかされている部分は戦争映画としての批評性を大幅に削いでしまっているのではないかとも思ったり。戦時中に起きたあの暴力を、まるで天災か何かのように描いてしまうというのは、日本の戦争文学のある種の潮流に昔から見られる良くないところだと思います。もちろん、本作の射程は別のところにあるのだと思いますし、「無い物ねだり」の卑怯な批判はしたくないのですが、一応書いておきます。

 人の生死が偶然性に左右されてしまうという残酷さを描いた点は素晴らしいと思います(しかし、それは「天災」でも同じことが言えてしまうわけですが・・・。やはり、明確な殺意の主体があるという点で戦争は天災とは異なるし、そのような殺意を許容し動員してしまう戦争の怖さへの目配せはもう少し欲しかった! ※終戦後の主人公の叫びとか、あの穏やかなお父さんがやっているお仕事のくだりとか、所々にあるっちゃあるけども。)。 あと、BGMの使い方がめちゃくちゃ巧い。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 

  

『ローグワン/ スターウォーズ・ストーリー』(2016)

  スターウォーズのスピンオフ。エピソード3と4をつなぐ物語で、すでに亡くなった俳優を最新技術で復活させていたり、ファンが喜ぶことをするためのこだわりがすごい!! ストーリー自体は、非常によくある決死隊モノなわけですが、スターウォーズという趣向を添えるだけでこんなにも面白くなるから不思議。相変わらず日本の過去の映画へのオマージュみたいなものも散りばめられていたりして、傑作でした。ジェダイが不在の状況下で繋がれた、希望の物語。

 

ズートピア』(2016)

 差別や偏見に対する問題提起を投げかけようとしていると思われる物語。しかし、人間界の寓話として読み解くには限界を感じる部分もある。人間界で起こる差別は、同じ「人類」の中で起きていることだけれども、『ズートピア』の世界で起こる差別や偏見は確実に動物としての種が違っちゃっている者同士の間で起こっているわけで、越えられない壁のようなものを感じずにはいられません。事実、居住する地域やサイズ感が厳密に区別されて、棲み分けをしていたりもします(ネズミたちの街などがある)。また、なぜか鳥や魚類は擬人化されていない点も疑問を持たざるを得ませんし、ある意味で『ズートピア』の世界そのものが、分かりやすい道徳的な偏見解消おとぎ話を紡ぐためのユートピアとして、周到に設計された箱庭であるわけです。ただ、制作者はもちろんこういう疑問を持たれることは織り込み済みで、その疑問について答えているインタビューがあります。

top.tsite.jp 

 哺乳類に限定して、「肉食動物/草食動物」という二項対立を軸にしてお話を作ったということですが、疑問に対する答えとしてはやや苦しい印象も残ります。また、この作品自体がキャラクター造形における偏見にすでに犯されてやしないかという疑問もあります。「キツネ=ずるい」っていう前提は誰のものなのか。

www.disney.co.jp

 

『葛城事件』(2016)

 無差別の連続殺傷事件が起きるまでの、そして起きてからの家族の物語。ある世代よりも上の人はみんな知っている、池田小の事件を下敷きにしつ、その他の無差別連続殺傷事件も参考にして作られているようです。この映画はとにかく後味が悪いのですが、これでいいのだと思いました。なんで犯人があんな人間になってしまったのか、誰が悪いのか分からないんだけど、失われた命は帰ってこないという重い事実だけが残される。犯人は最後まで徹底的に反省しないし、分かりやすく同情を誘うような「モンスターの誕生物語」を期待して観ると、肩透かしを食らいます。出演者の演技がとにかく素晴らしい。

 

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katsuragi-jiken.com

 

モッシュピット』(2016)

 Have a nice day!を中心に、おやすみホログラムとNDGの姿も追いかけたドキュメント作品です。すでに何度か感想を書きました。

lucas-kq.hatenablog.com

lucas-kq.hatenablog.com

lucas-kq.hatenablog.com

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www.loft-prj.co.jp

 

シン・ゴジラ』(2016)

 同じ映画を複数回観ることはあまりしないのですが、この映画は2回観ました。人間との交信が一切不可能な、理不尽で圧倒的な暴力。ゴジラの各形態の、グロテスクな化け物的造形が非常に良かったです。何と言っても、目つきがヤバい。以前のゴジラは、眼が人間らしい眼だったし、何となく交信が可能だったりしていただけに(「リトルゴジラ」なるキャラがいました)、今回のゴジラにはゾクゾクしました。とはいえ、人が作り出したモノなので、どうにかするための解はちゃんと用意されているわけですが、そのカタルシスも良かった。ゴジラの強大さに戦慄したり、政府の対応に焦らされたりするための前半部分と、スカッとする解決編としての後半部分で上手に構成された良質のエンターテイメントだと思います。社会反映論的な語りは野暮なのではないかなと思っています。

shin-godzilla.jp

 

君の名は。』(2016)

  昨年最もヒットした作品。悪い作品ではないと思いますが、あっさりと大災害を無かったことにしてしまうのはいかがなものかと思いました。「やっぱりどうやったって救えなかった人々がいた世界」を私たちは生きているので、その現実は忘れたくないなと私は思っています。

 BGMのくどさも気になりました。

www.kiminona.com

 

スーサイド・スクワッド』(2016)

 強大な悪が現れた時のために備えて、高い戦闘力を持った悪人たちで結成したチームを作ろうとしたら、その内の一人にあっさりと反旗を翻されてしまい、残りのメンバーで後始末をすることになる物語。はっきり言って、単なる内輪モメの火消しをするだけのお話です。しかし、キャラクターの画的な強度が素晴らしいために、そこそこ観られる作品になっています。ハーレクインのビジュアルを楽しむための映像作品だと割り切りましょう。

 スーサイドスクワッドを結成しようとした結果、大変な事故を招いてしまったダメ長官が一切お咎め無しなところが非常にモヤモヤします。また、チームのメンバーである悪人たちが、結局あんまり悪者じゃないところもモヤモヤ。あっさりと人情に流されて戦うなよ! 仲間意識なんて持つなよ! 「好き放題暴れたい欲求とか、殺戮を繰り広げたい欲求に従って戦っていたら、気が付いたら世界の平和に寄与しちゃっていました♪」みたいなノリで結末を迎えることがカタルシスになると思うのです。せめて、「無力な正義」を痛烈に皮肉るくらいのことをしないと、何の批評性も無いぞと。

 

wwws.warnerbros.co.jp