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【序章】折りたたみ自転車沼

 折りたたみ自転車を購入した。しかも、”かなり良い”折りたたみ自転車を。

 当初は10万円くらいのものを買おうと思っていたのだが、気が付いたらそれをはるかに超える金額のものを買ってしまっていた。もっとも、私は昔から、「安物買いの銭失い」になるよりは、しっかりした品を末永く使いたいと考えるタイプの人間であるので、こうなることも何となく事前に演算してはいた。店員さんに色々勧められたり、実際に試乗してみたりするうちに、あっさりと気が変わることは全然あり得るだろうな、と。

 ボーナスの支給を目前に控えて強気になっていたことも大きかった。ここ数週間、職場で非常にストレスのかかる作業に追われていたために、何でもいいからスカッとするような大胆なことをしてみたいという気持ちも募っていた。そんな複数の事情が重なって、高級な折りたたみ自転車の購入を勢いのままに決めてしまった。実際、決済を終えた後は爽快だった。でっかい買い物というのは、下手なカウンセリングよりも心の健康につながるようである。

↓自転車はこちらで購入。お花茶屋にある自転車屋さん。超ど素人の私にも、とても親切に各メーカーごとの特色などをレクチャーしてくれました。

www.cycleshibuya.com

 さて、今回の買い物であるが、様々なアタッチメントなども含めると、その総額はちょっと、なかなかの数字になりつつある。だが、後悔は一切ない。むしろ、良い買い物をしたという深い満足感がある。それでも時々、自分の心の中に住まう心配性の精霊が、「こんな高い自転車買っちゃったけど、本当に日常的に乗る? 飽きちゃったりするんじゃないのぉ?」と語りかけてくる。たしかに、これだけ大きな買い物をしてしまった以上は、その出費を無駄にはしたくない。宝の持ち腐れになってしまったら、その時こそ後悔に苛まれるだろう。納車は今月末を予定している。かわいい愛車を、是が非でも乗り回しまくって、折りたたみ自転車のある暮らしを満喫したい。

 そのために、毎日自分のハートに火を灯し続けるための努力をしている。予習のための本を買って熟読したり、近場のサイクリングコースを考えたり、自転車通勤するならこのルートで行こうと考えたりしている。自分が購入した自転車に取り付け可能な鞄もゲットした。一番良いやつを買ったので、いよいよ引くに引けないぞ。近いうちにヘルメットなども買ってしまいたい。

↓高いカバンはこちらで購入。自分が買ったメーカーのオフィシャルショップなので、在庫がある限り何でもある。欲しいアイテムを買う際の最後の砦になるか。

若干敷居が高いので、私の性格的には、欲しいものをあらかじめ決めておいてササッと買って帰る使い方になりそう。

bromptonjunction.tokyo

 

 折りたたみ自転車は、本体を1台買ってそれで買い物完了というわけにはいかない品である。はじめから付属しているのは、せいぜいベルと反射板くらい。ライトを用意しないといけないし、輪行(折りたたみ自転車を持って電車やバスや自動車で移動し、出かけ先でサイクリングを楽しむこと)をしたければそのためのバッグも必要である。その他の装備をあれもこれも搭載したいと考えてるうちに、芋づる式に財政出動を求められる。私の自転車ライフはまだ始まっていないが、輪行はしたいと考えているので、輪行バッグはすでに買うことを決めている。また、オプションでキックスタンドも注文した。この2つですでに合計1万円の出費である。また、先述した一番高い専用カバンには6万もかかっている。他の純正カバンが、値段の割には(2~4万円もする)材質的に心もとない感じだったので、まあ仕方が無いかなあ。

 自転車を購入してから気がついたけど、6月に、フットボールアワーの後藤さんも同じブランドの自転車を購入されていた。あと、よゐこ濱口優さんもつい先日購入していた。お金持ちの人達は買い方がより豪快ですごいと思った。私が折りたたみ自転車に興味を持ったきっかけは、星井さえこさんの漫画から。フルカラーで綺麗で、とても分かりやすい入門書。

 

  さあ、私の自転車ライフはこれからどうなっていくのか。メンテナンスのための道具とか、空気入れとか、防水ポーチとか鍵とか、出費の予定はまだまだたくさん。こうやって記録を残して公開していくことで、モチベーションを保ち続けたい。おそらく、超楽しい生活が待っているはず。私の記録が、今後折りたたみ自転車の購入を考えている人にとってのちょっとした参考になれば嬉しい。

↓堅牢性・デザイン・機能性すべて兼ね備えた一品! このタイプに限らず、チャリに取り付けるためのフレームを外して日常的に使用できるカバンが豊富なのも嬉しい。

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板につく瞬間を想像するだけで末恐ろしい。見逃してはいけない作品。 『フォビア』(作:原克玄/画:ゴトウユキコ)第1話感想

 ビッグコミックスペリオールにて連載されているホラー漫画、『フォビア』が面白い。昨年の12月下旬から始まった新連載である。(たぶん)毎回、1話完結で何らかの恐怖症にスポットを当ててストーリーが展開されていくサイコホラーとなっている。

 作画を担当しているゴトウユキコ氏は、昨年(2020年)完結した『夫のちんぽが入らない』(原作こだま)の連載が記憶に新しい。この作品は同名の私小説を原作としており、ドラマ版も制作されてNETFLIXで配信された。そのドラマは今年(2021年)の1月からは地上波でも放映されている。さらに、コミックスはフランス語版も出ており、高い評価を得ている。

 その後、ゴトウ氏は、webアクションで久しぶりのオリジナル短編『天国までひとっとび』を発表したのだが、それも抜群に良かった。エロ要素などは封印した、全年齢向けファンタジー。暗いニュースの多かった2020年にあって、人々の心に暖かい灯をともしてくれるようなお話だった。大きな反響を呼び、同業者も含めて実に多くの人に読まれているようであった。 

comic-action.com

lucas-kq.hatenablog.com

  あのとてつもない傑作を世に送り出した後に、次はどんな作品を発表なさるのだろうと期待に胸を膨らませていたのだが、ホラーに挑戦するということが11月に分かった時には驚いた。さらには、再び原作付きで、しかもその原作者が原克玄氏であるということで、またもびっくり。原氏と言えば、『るみちゃんの事象』『ハラストレーション』などのギャグ漫画の名手というイメージしかなかったため、色々な意味で本当にサプライズな抜擢だった。ゴトウ氏のオリジナル作品を読む機会がお預けになるのは残念だったけど、きっとまた、ものすごいものを目にすることができるだろうというワクワクが募った。

natalie.mu

  前置きが長くなってしまったが、『フォビア』第1話の感想を。主人公は隙間恐怖症の女性。幼少時に、側溝に遺棄された死体と偶然目が合ってしまったことがトラウマとなり、大人になった現在も隙間恐怖にさいなまれる生活を送っている。冒頭、他人のかばんから覗く人の髪の毛と頭頂部の絵が非常に生々しくて、ゾッとした。ゴトウ氏を作画に起用したことが大正解であったということが、これでもかと証明されている。

 主人公は、自分の恐怖症に理解のある男性と交際をすることになり、一時は幸せな日々を過ごす。しかし、隙間を見ると不安になり、それを埋めずにはいられないという自身の特性を抑え込むことはできず、すれ違いが起こっていく。ある時、主人公は恋人が他の女性と情事に及んでいる姿を見てしまう。傷付くよりも先に、彼が「隙間」に飲み込まれるのではないかという心配をしてしまう主人公。やがて彼女は、その隙間を埋めるためにとんでもない行為に走ってしまう、、、というのが第1話のお話。

 恋人を「心配」してしまう思考のベクトルの狂いや、その後の主人公の行動もホラーなのだけど、もっと根本的な倒錯を成立させている構成に私は痺れた。それは、情事を覗き見した時点で、すでに主人公は「隙間の世界」の人間になってしまっていたという倒錯である。扉の”隙間”から室内を覗き見る主人公は、隙間の向こうからこちらを眼差してくる「あちら側」の住人になっている。自己にトラウマを植え付けた、あの側溝の遺体と同様の存在と化しているのである。物語が実はいち早くオチていることに気づいたとき、何とも言えない不気味さと悪寒を感じた。原氏の構成の妙である。

 しかしそう考えると、第1話のラストのあのオチはややくどすぎるような気がしなくもないが、絵的な対応関係が序盤と終盤で綺麗に成立している(「綺麗」と言っても、絵そのものはとてもホラーなのですが)ので、やはりあの形でよいのかもしれない。

 斬新なタッグによって始まった『フォビア』は、もっと多くの人に読まれてほしいと切に願います。始まったばかりなので、ホラー漫画を十分に読みなれた方にとっては、「『ホラー』してみてます」感があったりするのかも分からない。ただ、すばらしい第1話が放たれているのは揺るぎない事実である。この「シミュレーション」が板についてくる瞬間に立ち会う楽しみ(と恐怖)を考えると、この先も絶対に見逃してはいけない作品であると思う。

  第2話は明後日(3月12日)発売の本誌に掲載されるそうです。ビッグコミックスペリオールを買いに走らねば!

 

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