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看板に偽り有りなのではないっすかね。(Eテレ「ねほりんぱほりん」地下アイドル・後編(2月8日放送分)の感想)

 ねほりんぱほりんの「地下アイドル特集」(と自称されている回)の後編を観ました。ちなみに、先日前編の感想も書きました。

lucas-kq.hatenablog.com

 

 今回はストーカー問題や性生活に関わる部分など、取扱注意な話題にも切り込んでいく回だったのですが、さすがに慎重な語られ方をしていました。「ガチ恋をこじらせてストーカーしてしまうオタク『も』おり、オタクがおしなべて危険なわけではない」という点はそれなりに強調されていました。ゲストで呼ばれているアイドルの皆さんは、「自分が思わせぶりな言動を物販でやってしまってることも原因かもしれない」という点については冷静に分析していたし、「太い客には事務所も強く注意できない問題」といった構造的な問題も指摘されるなどしました。

 しかし!!!! それすらも「地下アイドル」の個別・特殊な事例の一つに過ぎないということはどれだけ強調してもし過ぎることはないでしょう。禁止事項をちゃんと伝え、何かあった場合にはしかるべき措置をとっているアイドルは、個人でやっている人でも何らかの運営が後ろに付いているアイドルでも存在していますし、オタクたちの自治が行き届いたコミュニティも存在しています。この番組で紹介されている事例はことごとく地下アイドル界の「最底辺」の話でしかなく、それにもかかわらず「地下アイドル」全体を少数のケースで代表させるような見せ方をしてしまっている点については、あらためて違和感を表明せざるを得ません「地下アイドル特集」を自称しておられるようですが、「生活に困窮気味の最底辺アイドル特集」という番組名の方がふさわしい内容だったのではないかと思われます。

 もちろん、良い話もありました。体を許してまでお客さんをつなぎとめることの是非について話題が及んだときには、地下アイドルなりの矜持が語られていました。また、距離が近い地下アイドルの現場ならではの良さについても語られていました(「バランスを取っているよ!」というポーズなのでしょう)。

 そして相変わらず番組ブログでは奇妙なおまけが公開されています。後編の放送後、「“地下”アイドルあるある」ではなくて、「アイドルあるある」の「アンコール編」なるものが公開されました。内容はメジャーアイドルのライブあるあるのオンパレードです。あらかじめ作ってあったんだと思いますけど、やはり今回の特集のおまけとしてこれを公開する意味がサッパリ分からない。地下アイドルをまともに調査してない/知らないということの告白にしか見えないんですけど。ただ、私の前回の記事が目に入ったのかどうかは知りませんが、今回は、「このレポの検証という名目でどメジャーなアイドルを見に行ってみるもよし。はたまた、もっともっとディープな特殊な地下アイドルの世界に入ってみるもよし。」という文言が添えられていました。どメジャーアイドルのライブDVDを何本か見れば誰でも描ける程度のおまけでしかないということは自覚なさっているみたいですね。

www.nhk.or.jp

 それにしても、カラオケで数名のお客さんの前で歌っている女の子まで、地下アイドルにカウントして良いものなのでしょうか。そして、“たったの”70名強の取材でこの特集を組み、放送してしまった制作陣のハートの強さが逆にあっぱれすぎると思いました。取材対象に肩入れをし過ぎてしまい、「俺たちの好きなもの万歳!」になってしまうのは良くないことですが、取材対象のことをあまりに知らな過ぎているのも問題でしょう。「炎上」上等の話題作りに重きを置いた番組作りは、ちっともクールではないとも思いますし。それとも、Eテレなりの高度な「リテラシー教育」を体現なさってくれているつもりなのでしょうか。ポスト・トゥルースの時代の生きた教科書をいち早く見せつけてくれるなんて、さすがすぎます!!

 

 地下アイドルまとめブログさんは、興味深いつぶやきを拾い集めたエントリーをあげておられます。タイトルでも触れられている、超超超リテラシーの低いオタクの勘違いツイートも面白いですけれど(笑) 

地下アイドルまとめブログ 先日のねほりんぱほりん、とんでもない誤解を生む 「そのえれん?ちゃんアイドル腐ってる」「ボッキーゲーム」「ねほりんってアイドルくさってる」