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最高の試聴環境で行なった宅飲み! 11月20日(月)@新宿dues おやすみホログラム『15』リリース記念 爆音試聴会&トーク『15の夜』おやホロバンド(Koichi Ogawa/サナダタクミ/いたがきピロ)

 2夜連続の爆音試聴会に行ってきました。第1夜「15の夜」の記録を残しておきます。音楽的なルーツのこととか、バンド論とか、かなり熱い話を聞くことができました。サナダさんがおやホロメンバーの「バンドマン」っぷりを熱く語ったところなんかは、この日のハイライトだったかもしれません。

 ツイート禁止札が出るようなデリケートな話もあったりしたので、編集には骨が折れました。また、私自身がこの日とても酔っぱらってしまい、帰り道に転んでリアルに骨を折ったこともあり、まとめるのが少し遅くなりました・・・。

 お越しになれなかった遠方のファンの方や、仕事等により泣く泣く行くのをあきらめた方、当日来ていたけど楽しすぎてお話が耳に入っていなかった方、最近おやホロに興味を持ち始めて彼らのルーツを詳しく知りたいと思っていた方など、多くの人に読んでいただけたら幸いです。

 なお、トークの中でオガワさんがインスパイアされた曲が次々と紹介されていきますが、そちらは後日公開されたプレイリストで聴くことが可能です。

  

 以下が記録となります。発言者名は記してありますが、オガワさんの発言のみ青字で表記しておきます。フロアからの応答は()で括ってあります。

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オガワ みなさん、こんばんは。やってまいりました。爆音試聴会ということで、まず一曲ずつあらためて流します。「『15』の夜」ということで、『15』に収められた曲を流して、一曲ずつ解説をします。そして、変な発言もしつつ進めてこうかと思ってます。で、今日はオリジナルファイルを出して、こちらのスピーカーに合うようにセッティングもしてあります。なので良い音で聴けるかと思います。けっこう音が大きいので、気分が悪い方はお酒飲むか帰るかしてください(笑) じゃあ、いってみましょうかね!  ミュージックスタート。1曲目は「それから」です。

(※再生開始)

オガワ はい。聴いていただきました。「それから」でした。良い感じでしたね。まず、この会に関して言っておきますね。我々3人がしゃべるんですけど、「ちょっとこれはヤバいぞ」というときにはツイート禁止の札を出します。その時は本当にツイートはしないでください。立場的にヤバいこととかがあるので。こういうトークイベントなんで、毒にも薬にもならないことを言っても僕はあんまり意味か無いと思ってるんで。基本的に口が悪いので(笑)  ツイート禁止の札を出していなくても、察してください(笑) これヤバいなっていうのは。さあ、そういう感じで「それから」を聴いていただきました。代々木でやったGLAYのライブみたいな音でしたけどー。

(どういうことっすか笑)

オガワ なんかベースがJIROっぽくなかったっすか?笑 そもそも、バンドセットをなぜやったのか。なんでこの3人なのかと。というところを話した方がいいんじゃないかなと。なんでサナダさんがいるのかとか、なんでいたがきピロが金髪なのかとか。まあ、それはおいおいね(笑) なんでしょうねえ。すげえ身も蓋もない言い方をしてしまえば、楽だからですよね。まずは「楽だから」から始まったんですよ。やっぱりスケジュールが合いやすいというか。一番最初にやったバンドセットって、最大で8人くらいいたんですよ。あれくらいの規模になってくると、正直スケジュールが全く合わなくて、月に1回練習できるかできないかって感じだったんですよ。でも、スリーピースってことになると・・・

ピロ メンバーが来られなくても、例えば八月ちゃんが来られなくてもね。

オガワ 3人がいれば入れるし。時間はもうね。

ピロ われわれリズム隊、暇なんですよ(笑)

サナダ ほぼ無限だからね(笑)

ピロ 比較的暇なんで大丈夫なんです(笑)

オガワ じゃあ次の曲いきまーす。「ghosting」。

(※再生開始)

オガワ はい、ありがとうございます。「ghosting」でしたー。この曲は3rdアルバムの没曲でした。ライブでもう1曲増やさなきゃいけなくなって、そこで没曲を引っ張り出してきたんです。これは、ドラムを聴いて分かる通り、最初はアヒトさんにやってもらおうと思ったんです。アヒトイナザワ仕様なんで、難しかったんです。俺、ナンバーガール好きだったし、一緒にライブもやったし、アヒトさんのこと知ってるつもりだったの。で、九州で一緒にライブしたときに「これアヒトさんのために作ったんです。やりやすいですか?」って言ったら「めっちゃムズいね」って(笑)

サナダ この曲は、スタジオで30分くらい合わせて、すぐレコーディングでしたね。

オガワ まあそんな感じだよね~。

サナダ オガワさんが遅刻して、その間に、高円寺のスタジオでピロさんに「これやるらしいっすよ」って言われて、それでほわっとやってすぐにレコーディング。だからアヒトさんの原曲聴いたことないです。

オガワ あ、アヒトさんは叩いてない。原曲は俺が打ち込んでる。横ノリの曲なんだけど、縦のアクセントがけっこう強いよね。だからやりづらいし、ノリづらいんじゃないかなあ。アメリカンインディーのポストロックバンドとかでよくこういうのはあるんだけど。

(※その後、「ghosting」の最初期のデモを披露)

サナダ ちなみに、そのパネル活用してないですけど? 何か気になります。

オガワ あ、忘れてた。じゃあ軽く流しましょうか。僕がどんな感じの曲にインスパイアされたかというものです。「それから」の曲はNOFXの「linoleum」という曲です。この曲と、あとはめっちゃ有名だけどThe Get Up Kidsの「holiday」という曲。この曲あたりが近いんじゃないかなと。僕はメロコアは好きで、世代的にLobster Recordsとか、その年代のレーベルはけっこうレーベル買いしてたんです。まあ、はっきり言うと「それから」はなんの面白味もない曲なんですよ。言ってしまえばね(笑) 現状では「それから」に関しては30%くらいしかあの曲の良さが表せてないんですよ。あの曲はもともと面白くないんで(笑)

(どういうこと?)

オガワ いやあ、あれねえ。みなさん想像してみてください、目を閉じて。「それから」が流れます。そして日本語ペラペラのローリン・ヒルが歌ってると思ってください。めっちゃカッコ良くないっすか!?笑 The Fugeesのボーカルなんですけど、黒人が歌ったらめちゃくちゃカッコいいんですよ。ああいう人が、横ノリのロックなんだけど縦で歌うとすごくカッコいいから。いま八月ちゃんに聴かせてます。

サナダ たしかに現状われわれがやってるのは横ですよね。

オガワ 黒人のノリで横を意識してやるっていうのができれば、あの曲は大化けする曲だと思います。

(八月ちゃんには難曲だ)

オガワ 難曲ですね。後ろ気味なんですよ、あの子は。カナミルは前なんだけど、カナミルは縦があんまり無いんで。横ノリなんで。これはちょっと音楽的な話ですけど。では、続いて「ghosting」の元ネタ的なやつを。これはかなり元ネタなんですけどMock Orangeというバンドがアメリカにいて、聴いてもらえば分かると思うんですけどー。もうギター馬鹿って感じですね。ドラムがボーカルを歌ってます。エモですよね。

サナダ これはヤバイ。

オガワ ちなみに、Spotifyに無かった曲は今日は流しません。あともう1曲。これは有名ですね。At The Drive in「One Armed Scissor」。この曲はやっぱ縦がきいててめっちゃくちゃカッコいいですよね。ということで、これまで2曲聴きましたが、ここでおやホロスリーピースバンドの未発表デモを聴きましょう。いまおやホロのある曲をスリーピースにアレンジしていまして、たぶん完成形は全然違う感じになると思います。ちょっとこれを聴いてもらおうかなと思います。

(※デモ音源再生開始)

オガワ まあこういう感じで。昔こういう試聴会で出したかもしれないんですけど、「strawberry」の2ndアルバムに入ってるときのバージョンは吉島くんというドラマーと僕がスタジオ入って作ったタイプなんですけど、でも大元のデモと吉島くんに送ったデモは全然違うんですよ。吉島くんに「こういうやつやろうよ」と送って、スタジオで作ったのが2ndアルバムのやつだったんですね。でも、元々のデータは違うんで、それを流しますね。たぶん想像と全然違う。

(※「strawberry」の最初のデモ再生開始)

サナダ こっちの方が全然カッコいいじゃん(笑)

オガワ なぜか完成形があれになったんです(笑)

サナダ これは何年ですか?

オガワ 2015年。

サナダ 二年前におやすみホログラムでこれやってたら新しいですね。

オガワ まあ、こういう曲だったんです。けっこう、最初の僕のデモと違う形になることが多いですね。バンドになるとやっぱり全然変わるから。

(ドラマーに合わせてこれくらいなら叩けるとか、打ち込みだからこれくらいいけるとかは考えてる?)

オガワ いや、俺そういうの考えないんすよ。

サナダ 考えてないですね(笑)  まあでも、いまの曲に関してはピロさんやれますよね。オガワさんに「やって」って言われて「はい!」としか言えないですから僕らは(笑)

オガワ この、素早く声を出してがなるやつって、けっこう二人でやるにはしんどいかなって。叫ぶのはいいけど、メロディはいけないかなあとか。こういうのって意外と難しいんですよねえ。女の子二人組が歌うにはしんどいのかなあ。では次の曲いきましょうか。「真昼のダンス」を。

(※「真昼のダンス」流される)

サナダ 良い曲ですね。

オガワ みなさん、今回めっちゃ音良くないですか?

(超良い!)

オガワ 良いですよね!  家でこの音量で聴くことってできないと思うんでー。この環境を家に持ってる人がいたらうらやましい(笑)  人が少なければ少ないほど、実は音って良くなるんですよね。高い音は吸われるし、ロウには指向性がないからね。ではちょっとインスパイア系にいきましょうか。けっこうオシャレな。John Butler Trio「Better Than」。オーストラリアの人たちです。

(※再生開始)

オガワ もう1曲も流しちゃいますね。イギリスのバンドです。The Cribs「Burning for No One」。「真昼のダンス」のイメージって、ロックバンドがたまにやるファンキーな曲がすごい好きで、パンクバンドがレゲエやるとすごいカッコいいじゃないっすか。ロックバンドやパンクバンドが縦ノリの曲をやったときの荒々しさみたいなのって、雑だからカッコいいよね。ジャミロクワイもカッコいいけど、またちょっと違うじゃない。

サナダ 「真昼のダンス」はずっと進化してますよね。

オガワ 「真昼のダンス」が好きって言う人はけっこう多いんですよ。実はバージョンがいくつかありまして、八年前のバージョンが見つかったので聴いていただこうかなと思います。2009年ですね。

(オガワさんのバンドでやったやつ?)

オガワ そうですね。しかもその時、いたがきピロがドラマーなんですよ。その時のライブの音源があるので。

(※再生開始)

オガワ これ、下北沢のモナレコードっていうところでやったときのですね。ちなみに歌詞も全然違います。

サナダ これ、ルート音のとらえかたが全然違いますね。全く違う印象の曲に聞こえます。

オガワ 明るく聴こえるかな?  マニアックなこと言うと、C# F# Bm Dとかなんだよね。でも今のおやホロはF G Aかな。キーも違うし。これ実は、channaっていうバンドなんですけど、YouTubeで出てきます。この辺の音おもしろいんで、もう1曲流しますね。「夜、走る人」を。

(※再生開始)

検索するとちゃんと出てきます!

youtu.be

オガワ これは僕はボーカルしてないんですよ。この頃ツインボーカルで、女の子がボーカルを取ってて、その女の子はいまでも活動中です。この頃僕はSim Redmond Bandっていうアメリカのバンドにハマってて、その辺を参考にしてると思います。

サナダ 相対性理論とかがまだ流行ってた頃だよね。言い方はあれだけど。近いところですね。このオガワさんのバンドはなんで終わっちゃったんですか?

ピロ なんか自然消滅しました。このライブの頃にメンバーが結婚とかの転機を迎えて。

(ハハノシキュウのこととか、ヒップホップ論を聞きたいです)

オガワ ハハノシキュウは知り合いの知り合いで、ライブを一緒にやったんです。その時に「はじめまして、俺フリースタイルやってるんすよー」って言われて「じゃあ出ればー」って(笑) そっから始まってお互いなんか安部公房が好きだとか、中島らもが好きとか、文学の話で盛り上がったんすよ。ひとしきり。マッチョなライフスタイルは嫌いっていうところで話が合って、ちょこちょこ話をするようになって、そっからハハノシキュウとは絡むようになった感じですね。あの人は、あんまりラッパーっぽくないんですよね。考え方が。あの人けっこう頭良いから、ヒップホップの歴史を全部調べて覚えてるんですよ。重要なリリックも覚えてるから、それを踏まえた上で、文系的な力でねじ伏せてやろうっていう気概が感じられる。でも、まだねじ伏せられてないというところなんで、頑張ってほしいなと思っています。ではちょっと次の曲もいきましょうか。「note」を流します。

(※再生開始)

オガワ 「note」でした。「note」っぽい曲を流しますね。Sim Redmond Bandって知らない人も多いと思うんですけど、僕はこのバンドがすごく好きで。西海岸の感じとニューヨークの都会的な感じが合わさったような。こういうのを下敷きにして「note」を作っています。 

サナダ 「note」は名曲ですよ。

オガワ 「note」が良いと言われたら嬉しいです。「note」のデモもありますよ。あのPerfumeみたいなやつ。たぶんこれ、今後流すことはないんですけど、僕が歌ってるバージョンと、おやホロを始める前にオーディションした子が歌ってるバージョンとどっちがいいですか?

(オーディションの子のバージョン!)

オガワ その子の名前ももう教えないですけど(笑) 流します。

(再生開始)

オガワ 知ってましたか、皆さん。「note」って最初はここで終わりだったんです(※「ぜーんぶー」のくだりがなかった)。たしか、2~3回このバージョンでやって、それから今のバージョンになったんです。たしか、大阪に行く車のなかで作ってました。

↓「ぜーんぶー」があるver.

youtu.be

↓「ぜーんぶー」が無いver.

youtu.be

オガワ 残すところあと1曲ですけど、ここで質疑応答があれば。

(歌詞が好きなんですけど、よく出てくる言葉についてや、曲と曲同士の連続性があるのかどうかを聞きたいです。)

オガワ ちょっといま歌詞が出てこないんで歌詞を出しますね(笑)

サナダ たぶん、あんまり考えてないのかもしれないですね(笑) ちなみにmaison book girlさんは「カーテン」がやたら出てくる。

ピロ 他の運営さんの話はやめろー!笑

オガワ 僕、好きとか嫌いとかいう話とは全く無関係なことなんですけど、maison book girlさんとかほぼ聴いたことがないんです。アイドルを好きな方には本当に申し訳ないんですけど、僕はアイドルを聴く意味があんまりないんですよ。だって、スティーブ・ライヒ聴けばいいじゃないですか。今ってSpotifyとかがあるんで、世の中の良い音楽を幅広く聴けるじゃないですか。僕は、それでも聴いてもらえるものを作ろうと思って、おやホロをやっています。だから、僕はアイドルを全く聴かないです。歌詞の話に戻すと、僕が影響を受けてるのってイースタンユースの吉野さんと、中原昌也さんなんです。二人とも何に徹底してるかというと、書いたり読んだりしていて「恥ずかしい」ということを排除するところから作詞を始めるんですよ。おやホロも基本的に、使っちゃいけないワードをどんどん排除していって、あとはイメージを膨らませる言葉を入れていく。ひとつの場所からイメージを膨らますってことを徹底してるからああいう歌詞になるっていう感じです。

(でも、ちょっと気恥ずかしい歌詞もありますよね)

オガワ 「note」はちょっと気恥ずかしい(笑) あれは「えいっ!」って感じで書いてる。

サナダ 生み出しちゃえばそれでいいや、って感じですか?

オガワ そうっすねえ。例えば「slow dancer」ってめちゃくちゃ書きやすいんですよ。一番最初に「深い夜でも僕はまだ遠い日差しの夢忘れそうにないや」。僕はけっこうワンセンテンスが長いんですよ。「。」を打つまでにAメロが終わるとか。つぎはぎの体言止めとかはあまり好きじゃないんですよ。歌詞カードで読んだときに気持ちよくないっすか?  文章として読めるって。それを初めて味わったのがeastern youthの「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」。あの歌詞カードは美しいんですよ。eastern youthはめちゃくちゃ好きで、世代だし、音楽よりも文学が好きな時代があったんですよね。安部公房だったら『カンガルー・ノート』とか、ああいうの読んでめちゃくちゃ面白いなあって思ってた時期があって。やっぱ、歌詞ってダサいんすよ。

サナダ 歌詞だけ読んだら全部ダサいですよね。

オガワ そう、日本語の歌詞ってどうしようもなくダサくて、リズム感もないし。日本の音楽が糞だと思う理由のひとつとして、歌詞が合ってないんですよ。特に、ライブとかで他のグループの曲を10秒くらい聴くことがあるんですけど、歌詞とメロディががっちり合わないじゃないですか。フックにならないんです。其の時点で聴く気がなくなっちゃうんですよ。そういうところが巧くできてるなって思った最初の一人が吉野さんだったんです。

(ハバナイは?)

オガワ ハバナイはすごく好き。

(ダサくていい、みたいな?)

オガワ いや、あれはねえ、完璧ですよ。あのメロディにあの歌詞が乗るっていうのは素晴らしいから、同じ年代でカッコいいと思う人は10人もいないですけど、ハバナイはカッコいいですよ。

(悔しさとかは?)

オガワ いや、全然。俺の方がたぶんね、理屈っぽいんですよ。

(アンサーソングとかは?)

オガワ アンサーソングは、「ニューロマンサー」が一応「エメラルド」に対するアンサーソングっていうていで出したんですけど、ディストピアを彼らが歌ってたんで、そのディストピアを舞台にして曲を作っちゃえっていって出したのはあるんですけどね。ということで、「ニューロマンサー」を!

(※「ニューロマンサー」再生開始)

オガワ はい、ニューロマンサーでした。もうほぼ、ピロが叩けてないっていう。

ピロ レコーディングのときの話をすると、体力があるうちにってことで、朝10時くらいに叩いたんですけどー。

サナダ 10時30分っすね。

オガワ 14時間借りたからね、スタジオ。

(オガワさんの中では「ニューロマンサー」はバンドなの?  オケなの?)

オガワ オケかなあ。でも、バンドでやったら思いの外ハマったっていうのはある。この3人だと、二人が頑張らないと俺は乗せないよっていうのがある。もっともっと、来いよ!っていう駆け引きができるんですよね。

サナダ 八月ちゃんとカナミルと、なんで僕がやってるかというと、あの子達は予定調和を超えてくるものを出してくれるからなんですよ。それは、オガワさんのコントロールなのかもしれないですけどー。

オガワ コントロールできてないがゆえかもしれない(笑)

サナダ コントロールできてないがゆえかもしれないけど、でもあの子達がやるパフォーマンスもそうだし、スタジオに入ってるときもそうなんだけどー。いままで僕がやってきたアイドルさんがするような、曲に対してのアプローチの仕方とは全然違うことをしてるんですよ。

オガワ まあ、まず遅刻してくるもんね(笑)

サナダ まあ、そうっすねえ(笑)

オガワ 俺も遅刻するんだけど(笑)  だいたいカナミルが一番最後だよね。今日お腹痛いとか言ってね(笑)

サナダ 話戻しますけど、「ニューロマンサー」の終わり方がどういう終わり方なのかっていう話を僕らが3人でするじゃないですか。そうすると、八月ちゃんもカナミルも、「ここはこういう終わり方がいい」「こういう終わり方をしたい」っていう提案をしてくるんですよ。今日ここにはこの3人しかいないですけど、もう2人いてのおやすみホログラムバンドなんですよ。バンドとして「ここはもう少しこうした方がいい」っていう話をあの子達はちゃんとするし。

オガワ 俺は徹底的に論破しますよね(笑)

ピロ マウンティングしますね(笑)

サナダ それで、八月ちゃんがそれに対して、「オガワこのやろー!」みたいになって(笑)

オガワ で、「それを超える理論を持ってこいよー!」っていう話になって(笑)

サナダ だいたいスタジオで喧嘩になるんですよね(笑) でも、あれって「バンド」なんですよ。

オガワ たまに良い話があるから「お、それは使おうよ!」って。そもそも、おやすみホログラムバンドって、ハシダさんとかタクちゃんとかから始まったときに、楽器をやってもらうメンバーに言ったことは「アイドルのバックバンドだと思わないで、おやホロ潰す気でやりましょう」ってことだったんです。だから「おやホロも目立ちたいんだったら、技術上げないと俺とハシダさんがノイズで潰すわ」みたいな感じから始まってるのね。アイドルを生かす演奏って、裏を返せばめちゃくちゃ引いてる演奏なんですよ。それだとやっぱり、曲の知名度があった相手に届くのであって、バンドがなんでカッコいいかっていうと、全員がガーッ!ってくるからカッコいいから。それができなかったら、勝てるわけないじゃないですか。だから常にぶつかり合いをしてるわけです。おやホロとおやホロのバックバンドって。じゃなかったら、俺あんなでかい音出さないし。おやホロの声全部消すくらいの音で。

サナダ オガワさん、中音でかいことで有名ですよね(笑) 最近は、「ギター聞こえないんで上げてください」って言われるよね。

オガワ そういう体になっちゃったんですね(笑)

サナダ 俺らも求めてるし。あれ、ギター聞こえねえって。

(バンド編成見てると、オガワさんが乗りに乗ってるときは良いっすよ)

サナダ オガワさんが気持ちよく弾けることが大前提なんですよ。俺とピロさんの中では。

オガワ そうするとたぶん、自分達もリミッターが外れるんでしょ?

サナダ そうそう! オガワさんが気持ちよく弾けてる前提で、じゃあ俺らも勝手にやっていいんだってなる。

(良いライブのときはオガワさんがメンバーよりも前に出てる)

ピロ 基本的に出たがりなんですよ、この人。

オガワ そうでもない(笑)

ピロ いやいや出たがりですよ(笑)

オガワ 最近、DJセットのときにステージに上がってないじゃないですか。

サナダ そういえば、なんで後ろに下がったの?

オガワ あれ、知らない?  いや、初めて気づいたんですけど、PA卓の方が音がよく聴こえるんですよね。

サナダ そりゃそうでしょ!笑

オガワ 最近、それで全部やってるんです。なんでステージ上でやってたんだろうって思ってるくらい(笑)

ピロ 3年経ってやっと気付きましたね(笑)

オガワ あと、写真を見たときに俺がいない方が映えるなって(笑)  おっさんがいない方がいいなって思ったんですよね。

(いや、でもオガワギャルみたいな人もいるんですよ)

(ハコによってはいた方が様になるよ)

オガワ でもやっぱ、初めてやるハコだと、お客さんに聴こえる音を聴いて合わせた方がやりやすいんですよね。

サナダ 自分でやれた方が楽ですよね。

オガワ そうなんだよ。ただ、開始とかまでいちいち面倒みるのは、めんどくせえなって。

(そもそも、八月ちゃんとかカナミルには「中音」っていう観念はあるの?)

オガワ あるあるある。

サナダ 全然ありますよ。あの子達、すっげえバンドマンよ。

オガワ 八月ちゃんなんかは、「声のロー成分をもっと上げてください」みたいな注文を出してくる。基本的にカナミルはめっちゃハイをカットしてるからね。八月ちゃんはハイをブーストしてる。それを知らないPAさんだと、まんまフラットで出すから。そういうところを調整するのが僕の仕事で、ステージの中にいるとやっぱできないんだよね。はい、では「ニューロマンサー」に関連する曲を流します。いや、「planet」の最初のデモを流します(笑)

ピロ 「planet」を初披露したとき「え?」って思いましたね。

サナダ そう! 「これなにー!?」ってなったよね。

オガワ イスラエルとか中東のダンスミュージックって、ああいうノリがけっこう多いんですよ。キックがずれてるとかね。中東のディスコはカッコいいんですよ。その感じがけっこう強いんで、最初の「planet」を聴いてください。

(※再生開始)

オガワ こんな感じです。

(こっちの方がいい!)

オガワ こっちの方がイスラエルっぽいんですよね(笑) さて、あと10分くらいとなりました。ここで未収録曲のデモを流しましょうか。恥ずかしい曲ばっかりなんですよね~。『・・・』のでもが発掘されたんで、それをまず流しますね。

(※「fairytale」のデモ再生開始)

オガワ デタラメな英詞で歌ってます。めっちゃインチキ英語で恥ずかしい。続いて、SEで使ってた曲を流します。

(※再生開始)

オガワ これは次で入るかもしれないですね。では、ザーッとおやホロの没曲を10曲くらい流します。全部暗いんですよねえ。

(※再生開始。オガワさん曰く「blur中期っぽい曲」「宇多田ヒカルっぽい曲」などの没曲が披露されたほか、「絶対次に入れる曲」も1曲披露されました!)

オガワ こういう曲を没にしつつ『15』『17』は出来上がったわけです。他にも一杯あるけどね。ではそろそろ終了のお時間で。最後に質疑を。

(さっき歌詞の話で、一瞬安部公房の話が出てたと思うんですけど、オガワさんの歌詞の話を理解するにあたって、近代文学とか現代文学のこの小説家を読んでおくと世界観を理解できるというものとか、単純にオガワさんが好きな作家はありますか?)

オガワ 間違いなく、ジョン・アーヴィング。あとは誰だろう。

(日本人も聞いてみたいです)

オガワ 俺、日本人作家嫌いなんですよ(笑)

(ふざけんなよ!笑)

オガワ あ、いしいしんじさんは好きですよ。マルケスとか。日本人じゃないか(笑)  あ、町田康は好きですよ。日本人の文学ってクソつまんないんですよ。いま生きてる人だと金井美恵子だったりとか、高橋源一郎さんもだいたい持ってるし。あとは、おやホロの歌詞に徹底的に影響を与えた人が一人いるんだけど、誰か忘れちゃったなあ。

サナダ なんで忘れちゃうんすか(笑)

(そこ大事だよ笑)

オガワ 誰だっけ・・・。じゃあ、ジョンアーヴィングでいいです。他にある方いますか?

(ロックとヒップホップのバランスはどう考えてる?)

オガワ 俺はロックが嫌いなんですよ。で、ヒップホップはすごい好きなんですよ。自分でビートを作るときは絶対にヒップホップの文法に沿って作るし。

(※最後の2~3分、ツイート禁止な内容だったので省略します! 熱いスリーピースバンド論でした。)

オガワ はい、ではこれにてトークを終了とさせていただきまーす!  ありがとうございました~。

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 和気あいあい、そして酒気ムンムンの現場となりました。

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力をためているピロさん

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ためた力を解き放つピロさん

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爆音試聴会第2夜「17の夜」の模様もまとめました! 

lucas-kq.hatenablog.com

 

  

ちなみに、3rdアルバム『・・・』の試聴会の記録もあります。この時は、リキッドルームでのワンマン直前でピリピリしていました(笑)

lucas-kq.hatenablog.com