もしもし、そこの読者さま

ライブアイドルのライブレポ、Sexyzoneのライブレポ、映画・舞台・本などの感想などなど

事実上の『5』爆音試聴会! 2019年7月24日(水)オガワコウイチのルーツミュージックvol.5@ROCK CAFE LOFT

 おやすみホログラムのプロデューサー、オガワコウイチ氏のイベントに行ってきました。ルーツミュージックのシリーズには最近行けてなかったのですが、『5』の話をするとのことで、無理やり仕事の都合をつけて行ってまいりました。面白い話がたくさん聞けたので、記録を残しておこうと思います。

 デモ音源の方も素晴らしいものばかりだったのですが、そればっかりはブログに反映することはできず悲しみに暮れています・・・(笑) あの夜にイベントに行った人たちしか聴けなかったというのが誠に残念です。オガワさんの話した内容は、ツイート禁止と言っていた内容以外は起こしてあります。当日のムードだけでもお楽しみいただければと思います。いつか何らかの形で、デモの音源を聴く機会が再び訪れますように。ツアーファイナルの開演前とかに、フロアで流してくれたらいいのに・・・。

 

 

********* 

オガワ こんばんは。オガワです。皆さんいつもありがとうございます。まずはですね、もう19時30分なので、乾杯からいきたいと思います。お飲み物がまだ届いていない方も結構いらっしゃいますよね? 飲み物が届き次第乾杯しましょうか。『5』をリリースした後に、おやホロの爆音試聴会をしなかったので、今回はそれも兼ねた感じになっています。全曲のデモを持って来たので。
(やったー!)
オガワ デモと完成版とでけっこう変わっている曲もあるから面白いと思います。デモはもちろん僕が全曲歌っています。おやホロじゃなくて僕が歌ってる段階のデモですね。では、飲み物が来るまでに一曲流しましょうか。最近聴いてる曲を。ツアーでは、車の中でいろんな曲を聴くしかない時間というのが結構あるんです(笑) UKのバンドでFugaziっぽくて面白いバンドがいたのでそれをかけます。Fontaines D.C.っていうバンドの「Sha Sha Sha」という曲です。
(再生開始)


Fontaines D.C. - Sha Sha Sha


オガワ ちなみに二階は相変わらず爆音で聴ける空間になっています。皆さん、ほぼ飲み物はそろってる感じですかね。週の真ん中水曜日ですね、お仕事お疲れ様でございます! あと二日いけば休みですね。お疲れ様でーす!
(かんぱーい!)
オガワ はい。もうこれで僕の仕事は半分くらい終わったんですけど(笑) このバンドは今年デビューしたばっかりのバンドで、久しぶりにバンドの新譜を聴いたんですよ。最近はバンドの新譜を掘らなくなってて。さて、今日はおやホロの『5』を掘り下げていくということですので、本題に入りましょうか。上の階では爆音、こちらは適音ぐらいで。まずは「dancing in the pool」。アルバム収録のデータから流しまーす。
(再生開始)
オガワ はい。これが「dancing in the pool」の完成版ですね。デモを流しながらこの曲について話そうと思います。これはアメリカツアーの時のシングルで作ったやつで、わりかしパッと出来た感じです。もともとあった曲ではなく書下ろしです。デモはこんな感じです。
(再生開始)
オガワ これ、僕がギターを弾いてるバージョンなんです。それをラッセルとtomoyaさんが汲み取ってギターを入れなおしてくれたんです。基本的にデモって僕一人で作ってるんですよ。ヘッドアレンジってやつで、こういう感じで作りましょうっていうのを提示して、tomoyaさんと一緒に「この音はいらないよね」「この音は残そうよ」ってやり取りして作る。アレンジを決める設計図みたいなデモなんです。それを『5』では全曲分作りました。サウンドプロデューサーってどういう仕事なのかというのも分かると思うので、今夜は面白いと思います。じゃあ、次の曲にいきましょうか。アルバム収録バージョンを流してからデモを流す感じで進めていきますね。次は「そんな光」。
(再生開始)
オガワ はい。つづけてデモも流しちゃいますね。
(再生開始)
オガワ はい、こんな感じでした。原曲って僕が歌うとちょっと渋谷系っぽいじゃないですか? フィッシュマンズとか、あっちの感じになるんですけど、おやホロが歌うとおやホロの曲になるから、最近それをすごいなあと思いました。違いはあんまりないんだけど、サビのところで俺が結構ギターを入れています。あとはドラムを整理したくらいですかね。あとは、『4』の時から仕事しているミックスのハルさんにもアイデアをもらって、けっこういじってもらったので、聴きやすくなったと思います。じゃあ、ここで休憩がてら最近聴いている超お気に入りの曲を流したいと思います。僕、Billie Eilishがすげえ好きなんですけど、Justin Bieberといっしょにやったやつ、めちゃくちゃ良くないですか? これ爆音で聴きたいよね、って思ったので流します。おやホロの二人に「Billie Eilish展一緒に行く?」って言ったら即答で「行く」ってなって、僕はあのTシャツを買いました(笑) じゃあ、流しまーす。Justin BieberとBillie Eilishで「bad guy」です。
(再生開始)


Billie Eilish - bad guy (with Justin Bieber) [Audio]

 

オガワ はい。Billie Eilishってめちゃくちゃカッコいいじゃないですか。僕もこれ、やりたいなあって思って。おやホロにそういうのを持ってくんですけど、日本人の女の子の声の帯域の問題があって。この曲はスーパーロウといって、20~60Hzのサブベースとキックとクラップと、あとは上物のシンセしか入っていないんです。ミッドからミッドハイと呼ばれるような、ギターの音とか、帯域の広い音が無いんですよ。けど、Billie Eilishもそうなんですけど、あっちの歌を歌う人の帯域ってミッドがけっこう出るんです。だから、成り立つんです。でも、日本の子がこれを歌っちゃうとミッドというよりもミッドハイなんです。帯域的に。どうしても足りなくなっちゃうからギターとかパッドを入れる必要が出てくるから、成り立たないなと思ったんですよねえ。それが『5』を制作していて思ったことですね。ヒップホップとかトラップとかだと、オートチューンかけて帯域膨らませたりできるんですけど、歌モノだとそれが出来なくて。これをどう解決していくかが、今後の日本のポップシーンにおける課題になるんじゃないかなと思いました。声の帯域は本当に大事。それでは、おやホロの曲にまた戻りましょう。次は「awake」です。まずはアルバムの方のデータを流しまーす。
(再生開始)
オガワ はい。続けてデモバージョンを流します。
(再生開始)
オガワ っていう感じですね。これはあんまり変わっていないっちゃ変わっていないですね。最後の方に出来た曲で、ボツになりかけたんですけど、なんとかなりました。歌ってみるとメロディラインがめちゃくちゃ難しいんで、個人的には気に入ってるんですけど、ライブではあんまりやる機会がない曲です。
(どうしてライブではあまりやらないんですか?)
オガワ うーん、成り立たないなあって感じですね(笑) ライブでやっても良くならないんだよなあ。では次、「neon」を流しますね。
(再生開始)
オガワ 続いてデモを。このデモはですねえ、完成版とは全然違うんですよ。最初に作ったデモは、俺的には「これ、めっちゃカッコいいっしょ」って思ったんですけど、不評で(笑) それで作り直して最終的にアルバムに収められたバージョンになったんです。初期デモは個人的には気に入っているんですけど、確かにこのアルバムに入れるにしては変だなっていうアレンジです。聴いてもらえればと思います。「neon」の初期デモ。
(再生開始。全然違うけれどめちゃくちゃカッコよくて、フロアが静かに動揺)
オガワ はい。こんなアレンジです。まあ、問題児ですよね(笑) ベックとかが2000年代くらいににやっていたようなことをちょっとやってみたかったんですよねえ。僕は好きなんですけど、キャッチーではない(笑) これが好きな人もいるだろうけど。これはデモと完成版とでかなり変わった方ですね。じゃあ、ここで休憩を兼ねてツアー中に聴いている曲を。車でツアーしてると時間が余るので、普段聴かない長い曲とかを聴いてるんですよ。大学生の時ぶりに、頭からケツまでMiles Davisの「Zimbabwe」を聴いたので、流します。40分あるんで全部は流せないんですけど(笑) ちょっとおやホロの「drifter」に似てます。
(再生開始。休憩タイムへ。)


Miles Davis Live "Pangaea" 1975


オガワ はい。じゃあ、そろそろやりましょうかね、ちなみにこの曲は75年の大阪のライブからの音源ですね。いま8分くらい流したんですけど、全部で42分あるんで、生涯でもなかなか全部通して聴くことができない音源なんで、もし時間があったら聴いてみてください。では、おやホロの曲に戻りましょう。次は「wonder land」。
(再生開始)
オガワ はい。「wonder land」でした。続いてこれの初期バージョンを流します。これもわりかし違っていますね。
(再生開始。「neon」同様、印象の異なるアレンジ。しかし超カッコよい。)
オガワ こんな感じです。このバージョンは結構気に入ってたんですけど、ライブする感じではないじゃないですか(笑) じっくり聴く感じかなと思って。あと、言葉の乗せ方がトリッキー過ぎて、日本語を当てるのがめっちゃ面倒くさくなってしまって(笑) それを分かりやすくしたら、あの形になったんです。では次、「ラストシーン」いきます。「ラストシーン」はですね、実は原曲があるんですよ。僕の。まずは完成版を流して、それから僕の原曲やデモを流していきたいと思います。
(再生開始) 


【MV】おやすみホログラム「ラストシーン」 (監督:川口潤)

 

オガワ では続いて、初期デモを最初に聴いてもらいたいと思います。これは軽く流します。
(再生開始)
オガワ やけくそみたいなアレンジですよね(笑) このバージョンは、とりあえず出さなきゃってなって出して、自分でも「違えな」ってなったやつです(笑) サビのところでコーラスをめちゃくちゃ入れたかったんです。それをやってみたバージョンもあります。結局やっぱり「違えな」ってなったんですけど。
(再生開始。オガワさんの声がたくさん!)
オガワ サカナクションみたいになってる(笑) 多重コーラスを入れるとサカナクション感がすごいんですよ(笑) これをやりたかったんですけど、「そもそも二人しかいなくね?」って話になって(笑) この案はボツになりました。では、「ラストシーン」の原曲を流します。10年前くらいに作った曲で、アメリカンインディーな感じのバージョンがあるので。メロディはちょこちょこ違うんですけど、流しますね。
(再生開始)
オガワ っていうね。よくこれをあんなポップな感じに仕上げたなと自分でもびっくりしてます。「ラストシーン」はおやホロにしては珍しいJポップっぽい曲だなと思っています。この原曲をどうしたらポップになるかなあと思って、「魂売ったろう」って思ってアレンジを仕掛けました。サカナクションに寄せてみたり、却下されたり。それじゃあ、あと3曲なんで、ここでまた休憩を入れますね。車の中で俺がめちゃくちゃ聴いていた、Miles Davisの奥さんBetty Davisの「They Say I'm Different」という曲を。これねえ、めちゃくちゃカッコいいんですよ。
(再生開始)


Betty Davis - They Say I'm Different


オガワ はいBetty Davisでした。カッコいいですよねえ。全部カッコいい。じゃあ、おやホロに戻ります。「fire」を流しまーす。
(再生開始)


【MV】おやすみホログラム「fire」 / OYASUMI HOLOGRAM [fire]

 

 オガワ 僕「fire」めっちゃ好きなんですよ。「fire」好きですか? 皆さん!
(はーい!)
オガワ これ良い曲ですよね。これは参考にした曲があって。パクる……パクる? パクってはいないんですけど(笑)  Calvin Harrisの「Bounce」という曲です。ちょっと聴いてもらおうかな。
(再生開始)

www.youtube.com


オガワ あ、全然違うね(笑) まあ、こういう曲なんですけど、僕はCalvin Harris先生とDiplo先生にはだいぶお世話になってるんですよ。あの二人はすごいと思います。下品にならないちょうど良いところで、ポップミュージックとダンスミュージックの境目を行き来している感じが。めちゃくちゃ尊敬できます、では「fire」の初期デモを聴いてもらおうと思います。
(再生開始)
オガワ 元はこんな感じなんです。これもやけくそみたいなアレンジです。さっきのCalvin Harrisのやつをちょっと参考にして仕上げていったのが今の「fire」の形ですね。じゃあ次、「ghost rider」いってみましょうか。これも、デモだとメロディが全く違うところがあったりして、それも後で流すので楽しみにしていてください。
(再生開始)


【MV】おやすみホログラム「ghost rider」 / OYASUMI HOLOGRAM [ghost rider]

 

オガワ はい、「ghost rider」でした。これがtomoyaさんと一緒に一番最初にやった曲なんです。この曲は作り方が他の曲と違っていて、僕がヘッドアレンジを作ってそれを全部tomoyaさんに投げて、tomoyaさんに組んでもらって、それを二人で修正していくみたいな感じだったんですよ。この作品以降は、基本的に僕がヘッドアレンジを組んで、一緒にレコスタに入って二人で音を選ぶみたいな感じの作り方に変わりました。だから「ghost rider」はtomoyaさん感が強いんじゃないかなと思います。では、続いて初期デモを聴いてみましょう、Cメロの「ぬるい夜を切り裂いた」でドラムだけになる前の部分が全然違っています。
(再生開始)
オガワ けっこう違うでしょ? この曲はカラオケに最近入りましたので、ぜひ歌っていただければと思います。あと七星ぐみさんの曲も歌っていただけると(笑) じゃあ、あと2曲ですね。「friday」は丸投げしたのであんまり変わってないですね。ラッセルのギターが入ったくらいですね。これは流すだけにしまーす。
(再生開始)
オガワ 「friday」でした。この曲はリアレンジに成功しましたよね。あんまり変わってないんですけど、ラッセルのギターが入ることになった時に、想像が出来なくてラッセルにぶん投げたんですよね。「好きに入れてくれ」みたいな感じで。投げたらこれに近いものが返ってきて、そこから二~三回やり取りして、最終的にこの形になりました。さて、残りは後一曲なんですけど、まだ時間もあるので最近の僕のお気に入りを。僕はヒップホップが好きなんですけど、これは前に流したかもしれないな。juice worldの「Lucid Dreams」っていう曲があって、Stingの「Shape Of My Heart」をサンプリングしてるんですよ。いわゆる「大ネタ」ってやつなんですけど、それをサンプリングしてて、20年くらい前にNASも「The Message」でそのサンプリングをやってるんですね。で、20年越しにその大ネタを使う若いやつが出てきて、それがNASに匹敵するくらい良かったのでかけますね。

(再生開始)
オガワ こんな感じの曲です。一応元ネタも流しておきましょうか。NASの「The Message」です。これは20年くらい前です。同じネタ使ってます。
(再生開始)
オガワ という感じですね。90年代のヒップホップってサビとかないんですよ。ずーっとサンプリングを流してラップをしているだけ。淡々としている感じですね。それから、もう一曲流したくて、これも前に流したかもしれないです。Black Eyed Peasというグループで、チャラめのグループなので僕はあまり好きではなかったんです。そこから女の子が一人抜けて、ヒップホップを取り戻すみたいなアルバムを去年出したんですよね。さっき流したjuice worldみたいなメロディラップが今の主流なんですけど、それに対して大御所がすごい硬派なアルバムを真っ向から出したんです。それがすごい良かったのでBlack Eyed Peasの『MASTERS OF THE SUN』というアルバム。一曲目に「BACK 2 HIPHOP」という曲があって、それがfeat. Nasなんですよね。で、このアルバムの三曲目の「GET READY」という曲がめちゃくちゃ良いので、それを流しますね。
 (再生開始)
オガワ はい。こういう感じで曲が終わっていくんですけど、今の若いラッパーからしたら「この部分いらなくね?」って話なんですよ(笑) 昔のヒップホップって最後に何かを付けたりしてたんですよ。三分で終わる曲にこういうのを付けて五分にしたり(笑) 何がしたかったのかは僕もよく分からないんですけど、「蛇足」の部分がちょっとカッコいい。「このサンプリング超カッコいいから、最後ラップしないけどこの部分だけケツにくっつける。ちょっと聴いてくれよ」みたいなのがあったんですよ。そういう曲ですね。まあ、Black Eyed Peasの『MASTERS OF THE SUN VOL. 1』というアルバムはめちゃくちゃ良いアルバムなので、興味のある人は聴いてみてください。じゃあ、おやホロ編は次の曲で最後ですね。「happy songs」です。この曲の由来は、一つはMogwaiの「Happy Songs for Happy People」です。「幸せな人のための幸せな音楽」。けっこう皮肉ですよね。あと、ブルックリンで靴下をHappy Socksで買ったから(笑) アメリカの思い出がけっこう詰まった曲ですね。では流しまーす。
(再生開始)
オガワ はい、「happy songs」です。ではこれも初期のデモを聴いてみましょう。
(再生開始)
オガワ これはラッセルのギターが入っていないバージョンって感じですね。ラッセルはこれにもめちゃくちゃエモいギターを入れてくれたと思います。さて、駆け足でしたけど『5』の10曲をデモも含めて流していきました。これでおやホロ爆音試聴会的なパートは終わりです。あとは最近聴いた曲を軽く流して抽選会にいこうかと思ってまーす。

*********

 

以上、爆音試聴会的な部分の記録でした。

おやホロのツアーはこの後、仙台・札幌を経て8月10日のファイナルを渋谷で迎えます。

多くのお客さんで埋まることになるであろうWWWXの風景を見るのが、一ファンとして非常に楽しみです。 おやホロチームの皆さんが、健康にツアーを駆け抜けられますように。 

 

5 

5

5