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黒崎くんの勝利は必然である 映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』論

※映画の内容にかなり言及しており、ネタバレを含む作品論となりますので、ご注意ください。

 

kurosakikun-movie.com 


映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』予告編

  

 公開から1年近く経ちますが、この作品の素晴らしさを埋もれさせないために、今さらですが感想のような考察のような日記を書きたいと思います。

 この映画は昨年(2016年)の2月に公開された映画です。マキノさんによる同名のコミックを原作としています。主役の黒崎晴人を演じるのはSexy Zone中島健人くん。ヒロインの赤羽由宇は小松菜奈。黒崎くんのライバル白河タクミを演じるのは千葉雄大くんです。

 この映画を観てすぐに思ったのは、「これは単なるアイドル萌え映画ではないぞ!」ということでした。確かに、各種の宣伝においても、実際に本編を観てみても、中島健人くんが演じる「黒崎くん」が、ドSっぷりを発揮するシーンばかりがよく目立っていました。そういう意味ではもちろん、健人くんや千葉くんのファンが、効率よく萌えを摂取するための映画として観ても、全然OKだと思います。しかし、物語の構造の妙を楽しみたい映画ファンにとっても満足できる作りになっているのが、この「黒崎くんの言いなりになんてならない」だと思います。映画の構成とか、登場人物の動かし方が巧い!

 ヒロイン・赤羽由宇の「黒崎くんの言いなりになんてならない」という宣言が物語の端々で効いていることに、まず唸りました。この宣言は、作品のタイトルでもあり、映画の冒頭で由宇に叫ばれる言葉でもあります。この「言いなりになんてならない」宣言は、映画全編において大きな意味を持つ言葉だと思います。つまり、黒崎くんと由宇の間だけでなく、相手が白河タクミであっても、「赤羽由宇というヒロインに対しては、言葉による求愛が意味を持たなくなること」が宣言されたのだと解釈すると、最終的に黒崎くんの方に軍配が上がった理由がいろいろと説明がつく気がするのです。

 「言いなりになんてならない」ヒロインである由宇に対して、黒崎くんは最も的確な振る舞いでアプローチをしていたと言えます。とはいえ、もちろんドSな「言葉」もたくさん浴びせています。いくつか引用してみましょう。それらはいずれも由宇の心を打つことはない、荒唐無稽な言葉たちでした。

 

「お前は俺の奴隷だ」

 

「もっと屈辱的なこと命令してやろうか?」

 

「誰にでも尻尾振ってんじゃねえよ」

 

「誰のもんか忘れられねえようにしてやるよ」

 

 これらの言葉には、黒崎くんなりの愛が込められているのかもしれませんが、いずれも、ほとんど暴力と言ってもいいような乱暴な言葉たちです。「言いなりになんてならない」と宣言済みの由宇は、これらの言葉をことごとくスルーするか、ときには反発をして、まともに取り合わないそぶりを見せます。しかし、そんな由宇が唯一傾聴するものがあります。それは、黒崎くんの奏でるピアノの音色です。黒崎くんのピアノにはちゃんと意味があり、それは梶によって次のように説明されます。

 

 「黒崎くんのピアノには意味があるし。黒崎くんがピアノを弾くときは、伝えられない想いがあるから。」

 

 由宇は、黒崎くんの言葉にならない想いに、確かに耳を傾けているのです。乱暴な言葉によるコミュニケーションはほとんど成立していませんが、ピアノは二人の仲を深めるのに大きな役割を果たしています。そのほかにも、お風呂で由宇をかばったり、嫌がらせをやめさせたり、耳を噛んでみたり(!)、キスマークをつけたり(!!)、黒崎くんは「言葉」よりも「行動」でもって由宇の心を確実に引き寄せていきます。

 一方、ライバルの白河タクミはどうかというと、彼はたいへん優しく由宇に接しますが、「言葉」による指示や意味付けを好みます。

 

「押して。スタートボタン。」

 

「疑似恋愛はもうおしまい。ここから由宇ちゃんと僕の新しい関係が始まる」

 

「ほんとの恋愛 教えてあげる」

 

白「食べないの?」

赤「全然大丈夫。自分で。」

白「早く。あーん。」

 

赤「私のスキル不足が原因だと思うんですけど。いろいろどう受け止めていいか分からないというか」

白「ちゃんと言ってなかったね。僕、由宇ちゃんのこと好きだよ。ゲームじゃなくてリアルで。」

赤「危ない危ない危ない。だまされないから。」

 

 由宇は、タクミが自分に好意を持って接してくること、甘い「言葉」を次から次へと投げかけてくることに戸惑い、まともに応答をしません。黒崎くんと人気を二分する「白王子」からのアプローチを受けているにもかかわらず、消極的な応対をしてしまうのは、由宇が元いじめられっ子であることを考慮に入れたとしても、いささか淡白に過ぎます。しかし、これも映画冒頭の「言いなりになんてならない」宣言が徹底された結果であると解釈すれば、すっきりします。

  映画の後半に入ると、黒崎くんとタクミのライバル関係は苛烈なものとなっていき、タクミもより積極的なアプローチを仕掛けるようになりますが、「時すでに遅し」です。軍配は黒崎くんに上がっていました。「言いなりになんてならない」ヒロインである由宇に対する的確なアプローチを、天然で行い続けていた黒崎くんの勝利は必然だったのだと、私はこの作品を観て思いました。

 以上、やや理屈っぽいことを書き連ねてきましたが、この映画は純粋に本当に面白いです!! 中島健人くんが本当にハマり役で、めちゃめちゃ美しい。カッコいい。セクシー。私は男性ですけども、バーチーと健人君の友情関係の中に混ぜてくれと思いました(笑) で、この映画を観終わって、いろいろ解釈を重ねていくうちに、私の頭の中には石川啄木の次の詩の一節が頭をよぎりました。これはまさに、中島健人が演じた黒崎くんのことだ!と。いや、むしろ中島健人そのものかもしれないと。

 

われは知る、テロリストの

かなしき心を――

言葉とおこなひとを分ちがたき

ただひとつの心を、

奪はれたる言葉のかはりに

おこなひをもて語らむとする心を、

われとわがからだを敵に擲なげつくる心を――

しかして、そは真面目にして熱心なる人の常に有つかなしみなり。

 

石川啄木「ココアのひと匙」

 

 太字にしたところに黒崎くん感を感じるのは私だけでしょうか・・・。言葉とおこなひ(行動)を分けることなく由宇にぶつかっていった黒崎くんのことみたいだとは思いませんか?笑 「言葉のかはりにおこなひをもて語らむとする心」とか、「真面目にして熱心なる人の常に有つかなしみなり」とかは、普段の中島健人君のステージに臨む姿勢を髣髴とさせる感じもして、なんだか泣けてきます。われは知る、テロリストのかなしき心を・・・。

 

結論:中島健人は愛のテロリスト

 

  さんざん理屈っぽいことを言ってきましたが、最終的な結論はコレでした! すいません! むしろこれが言いたいだけでした!笑 やっぱ、健人君は天才です。「ラブホリ王子様」キャラの印象が強く、バラエティ番組などでも、胸キュンなセリフを即興的に披露することばかり求められる中島健人くんですが、この映画では「言葉」に頼らない方法でもってヒロインと結ばれるというのも熱いですよね! 中島健人君について語るときに石川啄木を引いてくる人はなかなかいないと思いますので、私としては「お手柄」かなと思うのですが、どうでしょうか。

 ところで、この作品を観て、違和感や嫌悪感を感じてしまう人もいるかもしれません。「男性が乱暴な言葉づかいや振る舞いで女性と接する場面を観て、みんなしてキュンキュンするのはいかがなものか」とおっしゃる人も、もしかしたらいるかもしれません。しかし、この映画はそうした振る舞いの滑稽さや異常さをきちんと相対化している映画だと思います。特に、アドリブで演技をさせたというラストシーンでは、由宇が黒崎くんに対してとても痛快な言葉を浴びせます。だから、安心して誰もが鑑賞できる作品であると私は思っています。月川翔監督の素晴らしいお仕事にも拍手です。

 サマパラの映像もリリースされましたが、こちらもどうにかして早く観てみたいと思います。私は、セクゾンのコンサートには一度しか行ったことがなくて、あとはケンティのソロコンに一度参戦したことがあるくらいなのですが、これからも5人を応援していきたいと思います。 

 

↓ケンティとの「初デート」の記憶

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  ちなみに、普段は主におやすみホログラムというアイドルを応援しています。二人組のユニットで、「シンメ」として大変すばらしいです。あと、プロデューサーのオガワコウイチ氏が作る曲がめっちゃ良いです! ぜひとも、ふまけんに歌ってほしい曲がいくつかあります。シンメ厨の心を確実に打つアイドルです!

 これからも、メジャー・インディーの垣根を越えて、アイドル文化が盛り上がっていきますように。

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【MV】おやすみホログラム「11」/ OYASUMI HOLOGRAM[11]


【MV】おやすみホログラム「ニューロマンサー」/OYASUMI HOLOGRAM [Neuromancer]

 

↓おやホロのMV論です。

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↓こちらは歌詞論  

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