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また誰か落ちてった(おやホロ沼に) 10月28日(土)@渋谷WWW nights out vol.2

 おやすみホログラムのワンマンライブに行ってきました。久しぶりの、広めのハコでのワンマンです。会場は渋谷WWWでした。おやすみホログラム新音源2作品の同時リリースパーティである今回のライブは、あいにくの雨天に見舞われてしまいましたが、会場は大勢の観客で埋め尽くされることとなりました。

 この日はハロウィンのシーズン中最後の土日ということもあり、渋谷駅に着くと街にはすでに仮装行列が跋扈していました。なるべく人の少ない道路を通りながらWWWに到着すると、見知ったオタクたちだけでなく、新たにファンになったであろう人たちも思い思いの過ごし方で開演を待っていました。会場では、早くも最前列を陣取っている人や、柵でくつろぎながら待つ人がちらほら。場内にはオガワさんが作ったBGMが流されています。

 私にとってはもう何度目かのワンマンライブであり、開演前に今までのようなドキドキ感はありませんでしたが、決しておやすみホログラムに対する愛や情熱が冷めていたからというわけではありませんでした。新音源に収録された曲たちを先行配信で事前に聴くことができたため、その素晴らしさについては何の疑いもない状態だったのです。だから、非常に落ち着いた心持ちで開演を待っていられたのでした。

 いよいよ開演時間となり、まずはDJセットでのライブがスタート。ステージには八月ちゃんとカナミルのみが登場しました。新衣装での登場です。たぶん、以前の衣装のモチーフが部分的に生かされたデザインになっていました。これが非常にかわいかった。八月ちゃんのヘソ出しが久しぶりに復活。赤青白の三色が鮮やかでした。カナミルは赤と黒の衣装で、可愛らしさとカッコよさの絶妙なバランスが素晴らしい。

 1曲目は新曲の「Hole of my underground」でした。イントロから聴く者のハートをつかむ、ライブの始まりにふさわしい名曲の誕生でした。「夜」、「泳ぐ」などオガワコウイチ氏の世界にはお馴染みのワードも散りばめられています。これから先、数々のファンがおやホロに「落ちてった」きっかけとなることでしょう。

 その後、これまた新曲の「Mother」、そして「Lemon」「friday」「planet」「Slow Dancer」と続いていきました。「Mother」は歌詞が英語なのですが、曲調はいままでのいろんな曲の中でも一番アイドルらしい雰囲気です。「Slow Dancer」はいかにもオガワコウイチ作品らしい、「失くしたものの数え歌」の様相を呈しています。「最後」「忘れていくんだろう」「消えてった」「泣いてるような顔をして」など、郷愁や寂しさを誘う言葉が散りばめられています。物事の「終わりの予感」を感じさせるこの曲は、まるで、おやホロが「地下アイドル時代」を終えて次のステップへと漕ぎ出していくことを祝福する歌であるかのように聞こえます。この曲があるからこそ、最新EP「17」の全体的な構成がビシッと締まっているように感じます。

二度目の披露の際の映像です。


20170903 おやすみホログラム - スローダンサー(仮)

 

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 DJセットのライブは30分弱で終了し、転換を挟んでバンドセットのライブに突入。「machine song」「drifter」とファンの間でも人気の高い曲を立て続けに披露しました。そして、短いMCを挟んで「note」(「15」ver.)に。「note」も非常に人気のある名曲ですが、最新EP「15」では、バンドセットの新たなアレンジで、印象も新たに生まれ変わっています。この曲で、会場の盛り上がりが最高潮を迎えました。

 続いて演奏されたのは「真昼のダンス」(「15」ver.)。カナミルの歌声が驚くほど大人っぽくなったなあ、としみじみしました。昔はカナミルの声の方に幼さがあって、どちらかというと八月ちゃんの声の方がお姉さんっぽかったのに、今は逆になっている感じがしました。カナミルの「踊ろうか」のフレーズの歌い方が最高で、ここでも観客のボルテージが上がりました。

 ライブはそして、「誰かの庭」と続きます。「誰かの庭」は決してテンポのある曲ではありませんが、会場の熱を保ったまま、じんわりと聴衆の心を燃やします。その後は「それから」「too young」「plan」「帰り路」「ghosting」と続いていきました。「それから」も「終わり」が主要なモチーフとなっています。

 バンドセットの終盤戦は「ghosting」の存在感が圧倒的でした。曲のカッコよさが抜きんでてる。歌詞は、「消えてく影」を見送るところから始まります。内容的に「plan」との関連性を感じさせます。前回のワンマンライブで初披露された曲ですが、この半年間歌いこまれてさらなる進化/深化を遂げているように感じました。

初披露時の映像。いつも素敵な映像を残してくださっているオタの皆様に感謝。


2017.04.07 『ghosting 』/おやすみホログラム(バンドセット) at 渋谷WWW X

 

 アンコールでは「ニューロマンサー」と「それから」を演奏し、この日のライブは終了。貫禄すら感じさせる見事なステージでした。これからも、日々変わっていく新しいおやすみホログラムに驚かされたいし、どんどん遠くに届いていってほしいと思いました。たとえ、月の裏まで行ったって、後悔なんてしないでしょう(cf.「ニューロマンサー」)。新しいおやすみホログラムのストーリーの「始まりの予感」に満ちた夜となりました!

 

おやホロの公式ページでは、最新EP「15」「17」の配信情報のほか、おやホロのすべての曲の作詞作曲を手掛けている、プロデューサーのオガワコウイチ氏による製作メモが公開されています。

oysm-hologram.com

 

 

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舞台でのみ輝き、傷付き、よみがえる 『DANCER セルゲイ・ポルーニン』

  映画『DANCER』を観ました。ウクライナ出身のバレエダンサーであるセルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーです。劇場公開が終わっていたので、海外版のDVDを購入して観ました。

 非常に素晴らしい映画でした。「バレエの神様に選ばれてしまった天才の、苦悩と再生の物語」と言ってしまえばありきたりに聞こえるかもしれないけれど、そういう映画です。ドキュメンタリーとしてのまとめ方はわりとベタなんですけど、そのベタさによって映画が損なわれていないのがすごいです。映画の良さのかなりの部分は、被写体であるセルゲイ・ポルーニンが放つ圧倒的なスター性の賜物だと思います。

 しかし、本作の魅力はもちろんそれだけではありません。セルゲイの家族や友人へのインタビューが非常に丁寧になされているのも、この映画の見所でした。セルゲイがたくさんの人の愛と期待を浴びて育ってきたことがよく分かりました。セルゲイの家庭は決して裕福ではなかったため、家族がバラバラになりながら必死に出稼ぎをすることで、セルゲイにバレエを学ばせていたことが劇中で語られています。家族がもう一度みんな一緒に暮らせることを夢見て人一倍稽古に打ち込んだというエピソードも胸が熱かった。

 しかし、セルゲイの両親は離婚してしまい、彼は心に深い傷を負いながらもバレエを続けます。英国ロイヤルバレエ団の最年少プリンシパルに上り詰めながらも、私生活が荒んでしまったというのは胸が痛みました。まるでどこかのアイドル!笑 冗談はさておき、生育期に受けた傷って、本当に一生本人を呪い続けるのだなあとしみじみ。バレエ団を電撃退団した後にロシアに渡り、徐々に再生していく過程はまさに王道少年漫画を見ているかのような心持ちでした。再び舞台に立とうとする前に、自分で髪をチョキチョキ切る場面があったのですが、これがすごく良かった。映画『ピンポン』で、一度は挫折して荒んだ暮らしを続けていたペコが、もう一度卓球をやり直すときの場面とダブって見えました(笑)

  劇中、セルゲイが踊るシーンももちろんたくさん盛り込まれているわけですが、跳んだ時の高さや、止まるべきところでピタッと制止するさまの美しさが半端なかったです。夏目漱石夢十夜』の「第六夜」で、運慶の鑿と槌さばきが「大自在の妙境に達している」と褒められる場面がありますが、セルゲイの身体もまさにそのようなものなんだろうなと思いました。

 これはもはやバレエとは全然関係ない話だけど、セルゲイのビジュアルからは時々、Sexy Zone中島健人みを感じたりもしました(笑) 前歯の感じとか。

 日本版のDVDなどがいつ出るのかは定かではありませんが、舞台で行われる芸能を愛するすべての人に観てもらいたい素晴らしいドキュメンタリーでした。舞台で傷つきそこから降りた人間が、結局舞台の上でしか生きられない自分と向き合い、舞台の上で再生する。まるでアイドルです。いや、まさしく彼はアイドルです。アイドルが好きな人も絶対ハマります。

  

 

  超美しいダンス映像。舞台をいったん降りた彼は、これで息を吹き返しました。 


Sergei Polunin, "Take Me to Church" by Hozier, Directed by David LaChapelle

 

静止画で見ても彼の魅力は素晴らしい  

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